離職防止の対策ガイド|社員の定着率を上げる7つの施策と実行手順

組織・HR 2026年3月14日 kotukotu編集部 約9分で読めます

「また辞めた」――採用コストをかけて入社した社員が、半年も経たずに退職していく。中小企業にとって、社員の離職は経営への打撃です。採用コストだけでなく、育成にかけた時間も、引き継ぎの手間も、すべて失われます。

離職率を下げるには、「辞めたい理由」を潰すだけでは不十分です。「ここで働き続けたい理由」を作ることが大切です。本記事では、中小企業が実践できる7つの定着施策と、その実行手順を解説します。

離職の本当の原因を知る

離職率を下げる施策を打つ前に、まず「なぜ辞めるのか」を正しく把握する必要があります。

退職面談で「一身上の都合」と言われて終わりにしていませんか。本音の退職理由を聞き出すのは難しいですが、以下の方法で精度を上げられます。

退職後アンケートを実施する。 退職してから1〜2週間後に、匿名のアンケートを送ります。在籍中は言いにくかった本音が出やすくなります。

在職中のサーベイで予兆をつかむ。 退職してから理由を聞くのでは遅い。四半期ごとの従業員満足度サーベイで、不満の芽を早期にキャッチしましょう。

中小企業における離職理由の上位は、「評価への不満」「成長機会の不足」「人間関係」「待遇への不満」です。この4つに対して手を打てば、離職率は確実に改善します。

離職率を下げる7つの定着施策

施策1:入社後90日のオンボーディングを設計する

新入社員が最も離職しやすいのは入社後3ヶ月間です。この期間に「この会社で大丈夫だ」と実感できるかどうかが、長期定着の分かれ道です。

入社前の準備、初日のウェルカム体験、1週間のOJT計画、1ヶ月目の振り返り面談、90日目の中間評価。この5つのマイルストーンを設計しておくだけで、早期離職は大幅に減ります。詳しい設計方法はオンボーディング設計をご覧ください。

施策2:評価制度を透明にする

「何をすれば評価されるか」がわからない状態は、社員にとって大きなストレスです。評価基準を公開し、フィードバック面談で具体的な改善アクションまで落とし込みましょう。

人事評価制度の作り方で解説している通り、透明性と納得感が評価制度の生命線です。

施策3:1on1ミーティングを定期実施する

上司と部下が定期的に対話する1on1ミーティングは、不満や悩みを早期にキャッチする最も効果的な手段です。月1回30分でいいので、「業務の進捗」ではなく「本人の状態」について対話する時間を設けましょう。

1on1ミーティングの始め方も参考にしてください。

施策4:成長機会を提供する

「この会社にいても成長できない」と感じた瞬間、優秀な社員は転職を考え始めます。研修制度、資格取得支援、新しいプロジェクトへの参画機会など、成長を実感できる仕組みを用意しましょう。

大きな研修予算がなくても、社内勉強会や外部セミナーへの参加補助、書籍購入費の支援など、小さな投資で成長機会は作れます。

施策5:給与・待遇を市場水準に合わせる

離職理由の上位に「待遇への不満」がある以上、避けて通れないテーマです。とはいえ、大企業並みの給与は難しい。ポイントは「市場水準と大きく乖離していないこと」と「報酬の根拠が明確であること」です。

同業種・同規模の企業の給与水準を調査し、自社の位置を把握しましょう。給与が低い場合は、段階的に改善計画を立て、社員に示すだけでも信頼につながります。

施策6:職場環境を整える

リモートワークの可否、フレックス制度、オフィス環境、ハラスメント対策。これらの職場環境は、特に若手社員の定着に大きく影響します。

「うちの業種ではリモートは難しい」と決めつけず、部分的にでも柔軟な働き方を導入できないか検討しましょう。週1日のリモートワークでも、社員にとっては大きな魅力になります。

施策7:キャリアパスを示す

「3年後、5年後にこの会社でどうなれるか」が見えないと、社員は将来に不安を感じます。全社員に精緻なキャリアプランを用意する必要はありませんが、「この等級からこの等級に上がるには、こういう経験とスキルが必要」という道筋は示しましょう。

定着施策の実行手順

7つの施策を一度に実行するのは非現実的です。以下の手順で優先順位をつけて進めましょう。

ステップ1:離職データを分析する。 過去2〜3年の退職者の傾向(入社何年目が多いか、どの部署が多いか、退職理由の傾向)を整理します。

ステップ2:最もインパクトの大きい施策を2つ選ぶ。 データ分析の結果から、最も効果が期待できる施策を2つだけ選びます。

ステップ3:3ヶ月で実行・効果検証する。 選んだ施策を3ヶ月で実行し、効果を測定します。離職率の変化だけでなく、サーベイ結果やヒアリング内容の変化も確認します。

ステップ4:次の施策に着手する。 最初の2つが軌道に乗ったら、次の施策に進みます。

定着施策で組織が変わった事例

kotukotuの菊池は、NOTDESIGNSCHOOL COOとして組織づくりに携わった際、定着率の向上を最重要課題として取り組みました。売上360万円の小さな組織の段階から、評価の透明化、定期的な対話、成長機会の提供を仕組み化しました。

「一人ひとりが自分の貢献を実感でき、成長を感じられる組織」を目指した結果、チームの定着率が向上し、安定した組織基盤のもとで売上は15倍以上に成長しました。離職率の改善は、単なるコスト削減ではなく、組織の成長力そのものを高める施策です。

離職率の目標設定と効果測定

離職率の改善を進めるには、具体的な目標値を設定し、定期的に効果を測定することが重要です。

離職率の計算方法。 離職率 = 一定期間の退職者数 ÷ 期初の社員数 × 100。月次、四半期、年次のそれぞれで算出しましょう。

目標の設定。 厚生労働省の「雇用動向調査」で業界平均の離職率を確認できます。まずは業界平均を下回ることを第一目標にし、段階的に改善していきます。

部門別・入社年次別の分析。 全社の離職率だけでなく、部門別や入社年次別に分析すると、問題の所在が見えてきます。「3年目の離職が多い」なら3年目のキャリア支援を、「特定部門の離職が多い」ならマネジメントの問題を疑います。

定着コストと離職コストの比較。 定着施策にはコストがかかりますが、離職のコストはそれ以上です。採用費、教育費、引き継ぎの生産性低下、残された社員のモチベーション低下。これらを金額換算すると、定着施策への投資が合理的であることがわかります。一般的に、社員1人の離職コストは年収の50〜200%と言われています。

離職防止で避けるべきNG対応

離職を防ごうとして逆効果になるケースもあります。

引き止め交渉で給与だけ上げる。 退職の意思を示した社員に「給与を上げるから残ってくれ」と交渉するのは、一時的な効果しかありません。根本的な不満が解消されなければ、数ヶ月後にまた退職を切り出されます。しかも「辞めると言えば給与が上がる」という悪い前例を作ってしまいます。

退職を敵視する。 退職する社員を責めたり、冷たく扱ったりすると、残った社員にも悪影響です。「この会社は辞める人を敵視する」という空気が広がり、不満があっても声を上げにくくなります。

制度だけ作って運用しない。 「1on1を始めます」と宣言しても、上司が忙しくてキャンセルが続けば、社員は「結局何も変わらない」と失望します。施策を発表する前に、実行する体制が整っているか確認しましょう。

離職防止施策の実践チェックリスト

離職率改善に取り組む前に、以下の項目を確認してみてください。

  • 過去2〜3年の退職者データ(人数・時期・部署・在籍年数)を整理したか
  • 退職理由を分類し、上位3つの原因を特定したか
  • 入社後90日間のオンボーディングプログラムがあるか
  • 評価基準が社員に公開されており、納得感があるか
  • 管理職が月1回以上の1on1を実施しているか
  • 自社の給与水準を同業種・同規模の市場相場と比較したか
  • 四半期ごとの従業員満足度サーベイを実施しているか

チェックが少ない場合でも、一度にすべてを整備する必要はありません。最もチェックが付いていない領域が、改善効果の大きいポイントです。まずは2つに絞って3ヶ月で実行し、効果を確認してから次に進みましょう。

まとめ:離職率の改善は「辞めない理由」を作ること

  • 離職率を下げるには、まず「なぜ辞めるのか」を正しく把握する
  • 7つの定着施策のうち、自社に最も効果的な2つから着手する
  • オンボーディング、評価の透明化、1on1が効果の出やすい施策
  • 一度にすべて実行しようとせず、3ヶ月サイクルで改善を回す
  • 離職率の改善は採用コスト削減だけでなく、組織の成長力に直結する

離職率が高い組織に新しい人を入れても、バケツの穴を塞がずに水を入れ続けるようなものです。まず穴を塞ぐこと。それが最もROIの高い人事施策です。


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この記事を書いた人 — kotukotu編集部 kotukotuは「戦略と実行をつなぐ右腕型パートナー」として、中小企業の売上改善・コスト構造改革・DX推進を伴走支援しています。 kotukotuの伴走支援について詳しく見る


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