「労務管理が属人化していて、担当者が休むと回らない」「法改正についていけない」。中小企業の労務管理は、経営者や総務担当者が他の業務と兼務していることが多く、専門知識が不足しがちです。中小企業の労務管理の基本をおさえ、クラウドツールで効率化すれば、法令違反のリスクを減らしながら工数を半減できます。
本記事では、中小企業が最低限おさえるべき労務管理の基本と効率化の方法を解説します。
労務管理の5大テーマ
| テーマ | 内容 | リスク(対応不備の場合) |
|---|---|---|
| 勤怠管理 | 出退勤の記録、残業時間の管理 | 残業代未払い、是正勧告 |
| 給与計算 | 基本給、手当、控除の計算 | 計算ミスによる未払い・過払い |
| 社会保険 | 健康保険、厚生年金、雇用保険の手続き | 未加入は罰則あり |
| 有給休暇 | 付与日数の管理、取得促進 | 年5日取得義務違反で罰則 |
| 36協定 | 時間外労働の上限管理 | 上限超えは労基法違反 |
テーマ1:勤怠管理
最低限のルール
- 出退勤時刻を客観的な方法で記録する(タイムカード、ICカード、クラウド勤怠)
- 残業時間を月次で集計し、36協定の上限を超えていないか確認する
- 深夜労働(22:00〜5:00)、休日労働を正確に記録する
クラウド勤怠ツール
| ツール | 月額/ユーザー | 特徴 |
|---|---|---|
| KING OF TIME | 300円 | シェアNo.1。打刻方法が豊富 |
| ジョブカン | 200円 | コスパが良い。無料プランあり |
| freee人事労務 | 400円〜 | freee会計と連携 |
勤怠管理のデジタル化で詳しい導入方法を確認してください。
テーマ2:給与計算
間違えやすいポイント
- 残業代の計算基礎: 基本給だけでなく、一部の手当も含める必要がある
- 社会保険料の控除: 改定月(4月/10月)の反映漏れ
- 年末調整: 控除申告書の確認漏れ
クラウド給与計算ツール
給与計算は手作業のリスクが高いため、クラウドツールの導入を推奨します。
- freee人事労務: 勤怠→給与→年末調整まで一気通貫
- マネーフォワード給与: マネーフォワード会計と連携
- ジョブカン給与計算: ジョブカン勤怠と連携
月額200〜500円/ユーザーで、計算ミスのリスクを大幅に削減できます。
テーマ3:社会保険の手続き
加入義務の基準
- 健康保険・厚生年金: 法人は社長1人でも強制加入。個人事業は従業員5人以上
- 雇用保険: 週20時間以上勤務する従業員は加入義務
- 労災保険: 1人でも従業員を雇用したら加入義務
主な届出
| 届出 | タイミング | 届出先 |
|---|---|---|
| 資格取得届 | 入社時 | 年金事務所 |
| 資格喪失届 | 退社時 | 年金事務所 |
| 算定基礎届 | 毎年7月 | 年金事務所 |
| 月額変更届 | 報酬が大幅に変わった時 | 年金事務所 |
| 雇用保険被保険者資格取得届 | 入社時 | ハローワーク |
テーマ4:有給休暇
年5日の取得義務
2019年4月から、年10日以上の有給休暇が付与される社員には、年5日の取得が義務化されています。違反した場合、1人あたり30万円以下の罰金です。
付与日数
| 勤続年数 | 付与日数 |
|---|---|
| 6ヶ月 | 10日 |
| 1年6ヶ月 | 11日 |
| 2年6ヶ月 | 12日 |
| 3年6ヶ月 | 14日 |
| 4年6ヶ月 | 16日 |
| 5年6ヶ月 | 18日 |
| 6年6ヶ月以上 | 20日 |
管理方法
有給休暇の「取得管理簿」の作成が義務付けられています。クラウド勤怠ツールを使えば自動で管理できます。
テーマ5:36協定
時間外労働の上限
36協定を締結しても、時間外労働には上限があります。
| 区分 | 上限 |
|---|---|
| 月間 | 45時間 |
| 年間 | 360時間 |
| 特別条項(臨時的) | 月100時間未満、年720時間、2〜6ヶ月平均80時間 |
36協定の届出
毎年、管轄の労働基準監督署に届出が必要です。届出なしに残業させると、労基法違反(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)になります。
人事制度の見直しと合わせて、労務管理の体制を整備してください。
労務管理の効率化ステップ
- クラウド勤怠ツールの導入(月200〜400円/人)
- クラウド給与計算の導入(月200〜500円/人)
- 社労士への相談(スポット相談 or 顧問契約)
- 就業規則の整備(社労士に依頼、10〜30万円)
- 管理体制の文書化(誰が何をいつまでにやるか)
クラウド会計の導入と合わせて、バックオフィス全体のクラウド化を進めてください。
よくある質問
社労士に顧問を依頼すべきですか?
従業員10名以上の企業は顧問社労士の契約をおすすめします。月額2〜5万円で、労務管理の相談、届出代行、法改正対応をカバーできます。10名以下の場合は、スポット相談(1回1〜3万円)で対応可能です。
労務管理の法改正はどうやって追えばいいですか?
顧問社労士がいれば、法改正情報を教えてもらえます。自社で追う場合は、厚生労働省のメルマガ登録と、主要な社労士事務所のブログを定期的にチェックする方法が効率的です。
従業員5名以下の会社でも労務管理は必要ですか?
必要です。1人でも従業員を雇用していれば、勤怠管理・給与計算・社会保険・有給休暇の管理は法的義務です。規模が小さいからこそ、クラウドツールを使って最小限の工数で法令に対応してください。
労務管理の効率化や体制づくりについて、kotukotuでは無料相談を承っています。お気軽にご相談ください。
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